札幌市中央区の皮膚科 宮の森スキンケア診療室

Column

院長コラム

パソコンと本を置いた明るいデスク

アルツハイマー病はヘルペスウイルスが原因かも知れない。

院長ブログ

院長ブログ

2018年10月に、「アルツハイマー病の発症においてヘルペスウイルスが大きな原因の一つとなっている」との論文(Front. Aging Neurosci., 19 October 2018)が発表されました。同時に、ヘルペスウイルスに対する抗ウイルス薬を投与することで、アルツハイマー病患者を治療できる可能性や、アルツハイマー病の予防接種を行えるようになる可能性も示唆されています。
・・・・・・・・・・
口唇ヘルペスをはじめとする単純ヘルペスは日常茶飯的に誰でも発症しますし、皮膚科では極めて一般的な皮膚疾患の一つで、当院を受診する方も非常に多くいます。単純ヘルペスウイルス(HSV-1)が原因となるウイルス感染症です。
単純ヘルペスウイルス(HSV-1)は主に幼児期に感染します。一度感染すると症状は治癒しても、ウイルスは末梢神経系の脳および脊髄以外の神経系の一部(主に三叉神経)に休眠状態で潜伏します。しかしながら、疲れたり、風邪をひいたり、ストレスなどで再びウイルスが活性化し口唇ヘルペスなどを発症します。
・・・・・・・・・・
この単純ヘルペスウイルス(HSV-1)が高齢者の脳にも存在することが、1991年の研究論文(J Med Virol.)にて明らかになっています。一方、1993年にCorderらは医学雑誌Scienceにおいて「アルツハイマー病の発症に、アポリポ蛋白質E遺伝子多型の1種であるAPOE4が遺伝学的なリスクファクターである」と発表しました。そして1997年に医学雑誌Lancetにおいて「APOE4とHSV-1が同時に脳内に存在する場合、アルツハイマー病を発症する危険性が高くなる」ことが示されました。
アルツハイマー病において、脳にアミロイドβ蛋白が沈着するのは病理学的特徴ですが、このアミロイドβ蛋白は細菌などの感染に対する自然免疫応答蛋白質であると言われています。単純ヘルペスウイルス(HSV-1)は脳内で繰り返し活性化する危険性のあるウイルスで、脳に累積的な損傷を引き起こす可能性があり、同時にアミロイドβなどの異常な蛋白質を脳に蓄積させることが発見されています。これは単純ヘルペスウイルス(HSV-1)がアルツハイマー病の主要な寄与因子であると考えられる所以です。
・・・・・・・・・・
まとめると、加齢により免疫系が衰退するにつれて高齢者の脳内で単純ヘルペスウイルス(HSV-1)が増加し、ストレスやさらなる免疫系の低下により単純ヘルペスウイルス(HSV-1)が脳内で再活性化します。その結果炎症を引き起こし脳組織に損傷を与え、アミロイドβが蓄積されアルツハイマー病を発症するというわけです。高齢者の中でもAPOE4遺伝子を持つ高齢者は特に発症しやすいということです。しかしながら、単純ヘルペスウイルス(HSV-1)を抑える抗ウイルス薬の使用が、難治性のアルツハイマー病の治療や予防になる可能性も同時に示唆されているわけでもあり、アルツハイマー病の抑制に一筋の光明が差していると考えて差し支えないでしょう。
でもちょっと疑問に思ったことがあるのですが、高齢者でなく若年発症のアルツハイマー病と単純ヘルペスウイルス(HSV-1)との関連はどうなのでしょうか?さらなる研究が待たれます。
・・・・・・・・・・
<23/01/2019 札幌市 中央区 皮膚科 宮の森スキンケア診療室>

この記事の監修者

Introduction

宮の森スキンケア診療室 院長 上林淑人

上林 淑人

宮の森スキンケア診療室 院長

経歴

医学博士

平成2年 札幌医科大学医学部 卒業、皮膚科入局

平成4年 形成外科入局

平成6年 医学博士号取得。

旭川赤十字病院、室蘭市立病院に赴任

平成10年 宮の森スキンケア診療室 開院

専門・所属学会

  • 日本形成外科学会専門医
  • 皮膚腫瘍外科指導専門医
  • 日本皮膚科学会
  • 日本臨床皮膚科医会
  • 日本東洋医学会
  • 日本癌学会
  • 日本熱傷学会正会員


〒064-0825

北海道札幌市中央区北5条西27丁目2-3 メディック28 3F

電話番号 011-640-8180
診療時間 月 火 水 木 金 土 日
9:00-13:00 ● ● ● / ● ▲ /
14:30-17:30 ● ● ● / ● / /

▲ ⋯ 土曜日は9:00-13:30までの診療になります。

宮の森スキンケア診療室周辺地図

西28丁目駅

1番出口
となり

宮の森スキンケア診療室が入るメディック28の外観